POASとROASの違い:利益がわかる広告指標はどちらか
Priya Raghunathan
Eコマース・パフォーマンスマネージャー
POASとROASの違いは、広告が「いくら売ったか」を測るのか、「いくら稼いだか」を測るのかという点にあります。ROAS(Return On Ad Spend、広告費用対効果)は売上を広告費で割ります。POAS(Profit On Ad Spend、広告費あたりの利益)は利益を広告費で割ります。2つの指標が逆の方向を指すこともあり、キャンペーンが事業を本当に潤したかを教えてくれるのは、そのうち一方だけです。
結論: ROASは売上を広告費で割ったもの、POASは利益を広告費で割ったものです。ここでの利益は、純売上から商品原価、配送料、決済手数料、返品を差し引いた金額です。損益分岐点はPOASなら1.0、ROASなら1を利益率で割った値です。予算の判断はPOASで、媒体内でのキャンペーン調整はROASで行いましょう。
この記事は、2つの指標の基本をまとめたガイドです。Shopifyで販売していて設定の手順を知りたい方は、ShopifyのROASからPOASへの利益トラッキングのガイドで、各コストがストアのどこにあるかを解説しています。以下で使う利益の層については、ECの限界利益をご覧ください。
POASとROASの違いは何か?
どちらの指標も分母は広告費なので、違いはすべて分子にあります。ROASでは売上、POASでは利益です。
- ROAS = 広告による売上 ÷ 広告費
- POAS = 広告による利益 ÷ 広告費
ROASは、どの広告媒体でも標準で表示される数字です。媒体は計測した注文金額をすでに知っているので、簡単に計算できます。POASには、媒体が持っていないデータが必要です。商品の原価、配送にかかった費用、そして返金として戻っていった金額です。
| ROAS | POAS | |
|---|---|---|
| 分子に入るもの | 売上 | 利益(広告費を差し引く前の限界利益) |
| データのある場所 | 広告媒体 | ストア、コストのファイル、広告媒体 |
| 商品原価、配送料、手数料、返品を含むか | 含まない | 含む |
| 損益分岐点 | 1 ÷ 利益率(40%なら2.5) | 1.0 |
| すべての商品で同じ目標を使えるか | 使えない(利益率が商品ごとに違う) | 使える(1.0が常に損益分岐点) |
| 向いている用途 | 1つの媒体内での広告の順位づけ | 予算と拡大の判断 |
| MetaやGoogleで標準表示されるか | される | 値として利益を送った場合のみ |
ROASが高ければPOASも高いとは限りません。利益率の低いアクセサリーを売るキャンペーンは、ROASではセット商品のキャンペーンに勝っても、コストを入れると赤字になることがあります。
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POASではどのコストを数えるのか?
POASの精度は、差し引くコストの精度で決まります。キャンペーンを比較する前に、まず定義を書き出しましょう。当ブログのガイドでは、広告費を差し引く前の限界利益、つまりCM2と呼ぶ層を使っています。
- 純売上:割引と返金を差し引いた売上。付加価値税(日本では消費税)は含めません。
- 商品原価を差し引く:仕入れ時の輸送費と関税を含む商品の仕入れ総額。ここまでがCM1です。
- 顧客への配送料を差し引く:注文を顧客に届けるために自社が負担した費用です。
- 決済手数料を差し引く:決済サービスが請求する手数料です。
- ピッキング・梱包作業、梱包資材、返品対応を差し引く。 ここまでがCM2です。
POASは、このCM2を広告費で割ったものです。もっと簡易な粗利POASを使うチームもあります。CM1で止めて、粗利を広告費で割る方法です。設定は早いものの、配送料と手数料が各注文の大きな割合を占めることがあるため、どのキャンペーンも実際より良く見えます。CM2で計算する限界利益POASのほうが厳しい数字で、予算の判断にはこちらを使いましょう。
3つ目の考え方として、割る前に広告費を差し引く方法もあり、その場合の損益分岐点は1.0ではなく0になります。どれも間違いではありません。間違いなのは、1つのレポートの中でそれらを混ぜることです。
POASの計算方法:計算例
POASは、きりのいい数字の1つのキャンペーンで学ぶのが一番わかりやすいので、以下では1つのキャンペーンの1か月を追います。数字はあくまで説明用に作ったもので、実在のストアのデータではありません。付加価値税抜きです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 広告費 | €10,000 |
| キャンペーンによる純売上(ストアの注文、返金後) | €40,000 |
| ROAS(€40,000 ÷ €10,000) | 4.0 |
| 商品原価 | −€18,000 |
| CM1(粗利) | €22,000 |
| 顧客への配送料 | −€4,000 |
| 決済手数料 | −€1,000 |
| 梱包資材と返品対応 | −€2,000 |
| CM2(広告費を差し引く前の限界利益) | €15,000 |
| 粗利POAS(€22,000 ÷ €10,000) | 2.2 |
| 限界利益POAS(€15,000 ÷ €10,000) | 1.5 |
ROASの4.0は好調に見えます。限界利益POASの1.5は、広告費1ユーロごとに€1.50の限界利益が戻ったことを示しており、このキャンペーンは固定費の回収と利益に€5,000を生み出しました。粗利POASの2.2では、この成果を大きく過大評価していたことになります。
ここで1つだけ条件を変えてみましょう。同じキャンペーンが主に割引したセット商品を売っていて、商品原価が€18,000ではなく€24,000だったとします。ROASは4.0のままです。CM2は€9,000に下がり、限界利益POASは0.9に落ちます。ROASはまったく同じに見えるのに、このキャンペーンは毎月€1,000の赤字を出しています。
損益分岐点のPOASが1.0なのに、ROASが高くなるのはなぜか?
損益分岐点のPOASがちょうど1.0になるのは、分子からすでに変動費が差し引かれているからです。広告費1ユーロに対して利益1ユーロなら、余りも不足もありません。
ROASにはそれらのコストが含まれたままです。ROASで損益分岐点に達するには、売上の利益分で広告費を賄えるだけの売上が必要です。計算式は、当ブログの損益分岐点ROASの計算と同じです。
- 損益分岐点ROAS = 1 ÷ CM2率
上の最初の例では、純売上€40,000に対してCM2は€15,000で、37.5%です。損益分岐点ROASは1 ÷ 0.375で約2.67です。セット商品の例では、CM2は22.5%で、損益分岐点ROASは約4.44に跳ね上がります。カタログ全体で1つのROAS目標を使うと判断を誤るのはこのためで、損益分岐点が商品構成ごとに異なるのです。POASなら、どの商品構成でも損益分岐点は1.0です。
ただし、損益分岐点はゴールではありません。目標POASは固定費もカバーする必要があります。固定費が月€3,000で、広告に€10,000を使う予定なら、€13,000の限界利益が必要で、目標POASは1.3になります。
ROASが今も重要なのはどんな場面か?
媒体自身の最適化とレポートが売上を基準に動いている場面では、ROASは今も役に立ちます。現在、多くの広告アカウントではそれが標準の設定です。
- 1つの媒体の中。 1つの広告アカウントの中では、すべてのキャンペーンが同じルールでアトリビューションされます。売る商品構成が似ていれば、そこで広告セットやクリエイティブをROASで順位づけるのは公平です。
- アルゴリズムが見るシグナルとして。 MetaとGoogleは、送られたコンバージョン値をもとに入札します。その値が売上なら媒体は売上に向けて最適化し、媒体内のROASこそが媒体の上げようとしている数字です。
- 手早い確認に。 どの広告媒体も、コストデータなしでROASを表示します。POASには、最新のストアのデータとコストの入力が必要です。
シグナルそのものを変えることもできます。Metaピクセルのリファレンスは、Purchaseイベントのvalueパラメータを「the value of a user performing this event to the business」(ユーザーがこのイベントを行うことのビジネスにとっての価値)と説明しているので、渡す数字は売上でなくても構いません。Googleのコンバージョン値のヘルプでは、目標広告費用対効果は「売上高や利益率など」の価値を最大化できるとしており、コンバージョン値のルールを使えば、地域、デバイス、オーディエンスごとに値を加算したり掛け合わせたりできます。
コンバージョン値として利益を渡すのは現実的な選択肢ですが、慎重に扱いましょう。利益率の情報を媒体と共有することになり、すべての注文でコンバージョン発生時に正確なコストが必要です。さらに媒体が表示するROASが利益の比率になるため、あとでアカウントを見る人が混乱します。多くのブランドは、媒体に送る値は売上のままにして、POASは媒体の外で計算しています。
POASのよくある間違いは?
POASの誤りの多くは、計算ミスではなく入力の不統一から生まれます。主なものは次の5つです。
- 媒体の売上を使う。 媒体が報告する売上はチャネルをまたいで注文を二重計上し、返金も無視します。MERとROASのガイドで説明しているとおり、ストアの純売上から始めましょう。
- すべての商品に同じ利益率を使う。 ストア全体の利益率では、注文ごとに赤字を出している商品が隠れます。SKUごとの利益分析で、どこで利益が漏れているかがわかります。
- 返品を忘れる。 返金は購入から数週間後に発生します。大半の返品が出そろうだけの期間でPOASを測りましょう。
- 考え方を混ぜる。 ある月は粗利POAS、次の月は限界利益POASでは、推移に意味がなくなります。
- ラストクリックのPOASで新規開拓を削る。 ファネル上部のキャンペーンは、指名検索やリピート購入を支えています。まず全体をブレンドのPOASで判断しましょう。
Wevionの役割
複数の媒体にまたがってPOASを計算するには、ストアのコストとすべてのアカウントの広告費を同じ期間でつなぐ必要があり、多くのスプレッドシートで更新が止まってしまうのが、まさにこのつなぎ込みの部分です。
WevionはMeta、Google、TikTok、Taboola、Snapchat、Outbrainの広告アカウントを各媒体の公式APIで接続し、ShopifyやWooCommerceの注文を広告費と並べてひとつのダッシュボードに取り込み、データを約15分ごとに同期します。POASに必要な売上、コスト、広告費が1か所に揃います。
ベータ版のWevionの収益性分析は、ストアの商品ごとの原価と、一度設定した配送料と手数料を同期して、利益、利益率、POASを表示し、SKUごとの利益率も示します。クロスチャネル分析の画面では、すべてのアカウントをその日の為替レートで1つの通貨に換算します。WooCommerceのストアについては、WooCommerceの広告収益性のガイドをご覧ください。
Proプランの14日間トライアルで、自社の広告アカウントで試せます。開始時にカードは不要です。7日目、またはトライアルのクレジットを使い切った場合はそれより前にカードの登録をお願いし、登録した場合のみ14日目から課金が始まります。
まとめ
- ROASは売上を広告費で割り、POASは利益を広告費で割ります。
- 利益は、純売上から商品原価、配送料、決済手数料、梱包、返品を差し引いたものと定義します。これが限界利益POASです。
- 損益分岐点のPOASはどの商品でも1.0です。損益分岐点のROASは1 ÷ CM2率で、商品構成によって変わります。
- 固定費もカバーできるよう、1.0を上回る目標POASを設定します。
- 1つの媒体の中で広告を順位づけるには、引き続きROASを使います。媒体は送られた値で最適化するからです。
- ストアの純売上から始め、すべてのレポートでPOASの考え方を1つに統一しましょう。
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